神戸周辺バスケチーム紹介『アクアテック』

BUMPの神戸周辺バスケチーム紹介。

第6回目は、JBA男子近畿地域リーグ参加中のアクアテックさん。実業団チームのバスケと仕事について、鉄板とお好み焼を囲み取材しました!

 

“プロではなく、実業団”

 

ー まずチームの成り立ちから教えてください

(本田)まず僕が兵庫県のNHUライオンズというチームにプレイヤーとして4年前に加入しました。千葉から6年前に転勤で関西に来まして、その際に知り合った方々を経由して、軽い気持ちでチームに入りました。

実は以前より自社(アクアテック)で、バスケの実業団チームを持ちたいという考えがありました。その後、今から2年前にNHUライオンズというチームをアクアテックに譲っていただくことになり、アクアテックライオンズとして活動をはじめました。実業団チームを持つということについては会社からもすぐに承認が得られ、2016年度4月から活動できるようJBAにチーム登録をしました。

 

ー チームのメンバーについて

(本田)まず前チームのメンバーを主軸とし、それをベースに本格的に新選手のリクルート活動をスタート。ただチームにきてもらうのではなく、アクアテックという会社としての正社員採用としてのリクルートです。

今回インタビュー参加メンバーはリクルートした選手の一期生で、チームのキャプテン、副キャプテン2名です。

 

ー リクルートについて

(本田)学校訪問が主な方法です。僕の母校は千葉県の市立柏高校なんですけど、伝統もあり、監督の飯沼 加寿夫先生は全国的にも有名で、U18の強化コーチもしていて顔が広い。有名な指導者の方々は日本体育大学、大阪体育大学、鹿屋体育大学とかじゃないですか。僕が「今、選手のリクルート活動をやっています。」と飯沼先生に伝えると、全国の有名な監督さんを紹介してくださいました。

ただ、リクルートのときに選手達に話をしているのは「基本的に実業団だからね。プロじゃないよ」と。

僕自身、学生時代は大東文化大学で選手としてプレーをしていました。実は20歳で学生結婚をして子供ができ、アルバイト・学業・バスケを両立する上で試合に出る機会が減ってしまいました。1年のときに関東のある会社に内定が決まっていたり、ちょうどBJリーグができたところだったのでBJリーグの練習生として参加もできたのですが、練習生にチャレンジしても優秀な選手でないと生活が難しいのではないか。との声を当時は耳にしました。その時点で家庭があった僕としては「仕事を優先しながらバスケを続けよう」という選択をしました。

僕は、男は結婚して妻子を持って欲しいと思っています。若いうち、動けるうちはバスケしてくれたらいいんですけど、若くなくなったときに社会的に立場があったり、収入があるようにして欲しいと思っています。そういう僕の考えも踏まえて、仕事ありきでバスケをしてもらうというスタンスで実業団チームとしてリクルート活動をしています。

練習は基本土日の週2日しかありません。それ以外は仕事です。仕事ありきで来てもらっている以上、忙しいときは残業するときもあります。

 


(左から:本田さん、坂上さん、中島さん、中村さん)

 

ー それぞれチームに加入された経緯を教えてください

(本田)中島 健太は順天堂大学、この子がリクルート第一号なんですよ。1番最初に行訪問した学校です。中島は飯沼先生が異動された幕張総合高校出身で、僕と同じく飯沼先生の教え子なんですよ。

飯沼先生のとこに行くと「いいのがいるよ。デカいセンターの子が。」と。それで一緒に順天堂大学に同行してもらいました。そして、中島と僕と先生が対面して席に着くなり、「NO」という選択肢はなしで、「はい」か「YES」しかないような空気でした、笑。

 

ー 中島さん、アクアテックに入ることに抵抗はなかったですか?

(中島)なかったですね。僕は大学4年になって全然試合に出られなくなって、バスケは続けたいけど仕方ないかな…と思い、教員を目指そうと教員試験を受ける準備をしていました。

そこで本田さんからお話を伺い「ぜひお願いします!」と。もうお会いしたその日に決めてしまいました。迷いはなかったですね。

 

ー ご出身は関東ですよね?関西に来ることについては?

(中島)そうです。千葉です。場所はどこでも良かったんです。

 

ー 中村さんや坂上さんのリクルートの経緯は?

(本田)神戸学院大学出身で、現シニアチームCOMPLEX在籍の丸山さんという方に、神戸学院大学の山下先生をご紹介いただき、中村をリクルートさせてもらいました。その山下先生が天理大にもコーチとして指導に行かれていて、天理大の二杉監督を紹介していただき、坂上を紹介してもらうことになりました。

坂上は、大学卒業後に教員を目指しつつ、和歌山トライアンズというパナソニックが解散した後に結成されたチームに所属していたのですが、二杉監督から「いい選手だからもったいないよ」ということで紹介してもらい声をかけました。あとはもう1人天理大学の子でアクアテックに来てくれた選手がいます。

その他、関東の東京成徳大の監督さんも飯沼先生の後輩で、シューターの選手を紹介してもらい、また中島の順天堂大学の同期で広島皆実出身の選手も、関西のチームということに好感を持ってもらい来てもらいました。

(坂上)天理大卒業後、当時B3を目指していた和歌山トライアンズに所属しながら、中学生を教えたりしていました。そのときに声をかけてもらいました。バスケだけでなく仕事もあるし、新しいチームだし、面白いなあと思いました。

大学時代は試合に全然出ていなかったので、もっとやりたいという思いがありました。和歌山トライアンズでも試合は出られていなかったですし。実業団チームで試合に出場できれば、大学時代にバリバリでやってた同年代の選手たちと対戦できるし、自分の力を試せる。そこにすごく魅力がありました。

 

ー 中村さんは大学時代、試合に出ていましたか?

(中村)試合は…出てましたね、笑。

(本田)彼はスタートでしたよ、笑。

 

 

“バスケと仕事とのバランス。強いチームになるために”

 

ー 普段の仕事では、どんな業務をされてるんですか?

(本田)弊社アクアテックが請負型の派遣運送のようなことをしていて、鳴尾浜に請負の物流センターがあるんです。入社1年目は、そこに海外から入ってくるコンテナの荷物をひたすら下ろすという肉体労働から始まり、追って様々な部署へ配属されるという流れになっています。キツい仕事ばかりだと、くたばってしまうので、笑。

 

ー スポーツ選手の方が向いていそうな仕事ですね、笑

(本田)はじめは肉体労働が多いので、一般の人だと持たない。長く続かないというのが目に見えてるんですよね。彼らのようなスポーツ選手だと、慣れてしまえばお金もらいながら筋トレしてるもんだと、笑。

(坂上)バスケと関係ない筋肉がつきました、笑。

(中島)激やせしました、笑。

 

ー 仕事とバスケのバランスについて

(坂上)実際仕事はハードでしたし、練習も土日しかなく、練習時間も2時間しかありません。大学では毎日練習していたので違和感がありましたし、これで勝てるのかな?と思っていました。でも、今は割り切れていて、その中でベストを尽くそうと考えています。

(中村)仕事もバスケも負けたくないんです。どちらも競走できる環境だと思います。ただ、バスケは週2日だけでは正直足りない。だけど、会社から体育館のお金を出してもらっていて、会社の代表として会社の看板を背負ってバスケをさせてもらっていることを感じています。

例えば、信和建設さんは会社も大きいですが強いじゃないですか。今、地域リーグでまだ勝てていませんが、もし全国に行ければ会社の名前もアピールできるかなと思っています。

 

ー チームの特徴や課題は?チームについての思い

(中島)まだチームの特徴がないかもしれませんね。そこが課題かもしれません。ただ、僕は社会人になってバスケができる環境を提供してもらっている以上、バスケする時間はバスケに対して熱くいきたいです。チームの軸となる選手になりたい。2年間兵庫の青年国体メンバーに入って、意識が変わりました。
国体に集まる人達はバスケのことを最優先に考えていました。社会人の優先順位は色々あるから実業団チームとしては難しい面もありますね。

(坂上)僕たちは寄せ集めチームだけど、みんな大学でそれぞれやってきて勢いはあるし、当初は遠征でも結果を残せていました。でも、やっていくうちに練習量も少なくなったこともあり、勢いが減り、変にチームが落ち着いてきたんです。体力も落ちてきて思うようなプレイができなくなったと感じることもあります。

(中村)困ったときにフォーメーションを使いたいけど、バックグラウンドが違うのでフォーメーションの理解度にも個人差がありますね。

(坂上)大学では言われたことをやっていました。でも今は自分たちで考えるほうが多い。そこにやりがいはあります。キャプテンとしてチームにフィットしそうなフォーメーションをネットで探したりしています。

(中村)例えばスクリーンの掛け方、角度など徹底すべきことはありますよね。土・日だけの練習で、どう落とし込むかが課題です。

(本田)勝ち方、ゲームの運び方をチームで習得できたら負けないチームになると思います。僕は去年の秋から試合に出るのをやめました。若手が気を遣ってるのがわかった。若い選手たちでこれから頑張って欲しいと思っています。

 

ー みなさんが考える強いチームとは?

(中島)もっと熱く、熱量が多く、お互いのプレーで一喜一憂できるチーム。ベンチにいようが試合に出ていようが、バスケは個人競技ではないから。
勝つことが試合に出ている人の役割。試合に出ていない人は、試合に出たいっていうのは当たり前だけど、素直に応援・サポートする。そういうことをみんなができるチーム。

(中村)セットプレーを使うとき、走るべきタイミングを見極められるチーム。常に走ったら意味がないじゃないですか。例えばシュートが入らなかったとしても「あ、今いいリズムだな。さぁディフェンスも頑張ろう!」とチーム全体で感じられることが良いことだと思うんです。
チームの流れが悪くても、誰か1人でもムードメーカーというか、いい雰囲気を持っている人間がいるチームは強いと思います。
僕たちの場合は仕事も一緒だし、だいたい何を考えているか、今日は調子がいいか悪いか分かります。そういう意味で1人1人がみんなのことを考えられるチームが強いと思います。

(中島)そういうことを最後に言いたかったなぁ、笑。

(一同)笑。

(坂上) 個人個人・チームメイトがそれぞれの武器を分かっている。今はこいつに勝負させる場面とか。そのためにはコミュニケーションも必要だし、武器を活かすためのフォーメーションも必要だし。チームで崩せる力、連動も必要。結果論だけではだめだと思うんです。

うちのチームだと今は連動があまりできていなくて、タフショットを打って、逆速攻…。みたいなケースがあります。
メンバーそれぞれの今までのバックグラウンドの違いもあるせいか、まだ意識共有が不十分かなと思います。僕はキャプテンだけど、自分の言うことがすべて正しいと思っていないし、まだまだ後輩に気を遣われている感じがしているので、笑。

(本田)強いチームとは、個人の役割をちゃんと理解してやれているチームだと思います。5人全員がスター選手でも常に勝てるわけではないですし。

5ポジは、スラムダンクの魚住みたいに泥臭く体を張って柱としてやらないといけないし、下から声出して盛り上げる。4ポジは、リバウンドからチームの2番目の柱として、ゴール下の番人としてやらないといけない。2ポジ・3ポジは、チームが困っているときにパパっと決められる、得点能力があるエース的な役割。ガードは、ゲームメイクしながらも自分でも点を取れる。そんな役割分担を個々がちゃんと理解をして、理解を持った上でゲームメイクできているチームが強い。そう思います。

うちのチームは、若いメンバーで成り立っています。僕は選手としては一線を退き、これからもリクルート活動を強めて、若い選手を集めるつもりです。若いメンバーだけでも個々の役割分担をしっかり理解し自分たちで課題を解決できれば、自分たちだけでももっと強くなれると信じています。

 


(左から:坂上さん、中村さん、中島さん)

 

【メンバー紹介】

本田 勇真さん(30歳)
経歴:船橋市立行田中学校→柏高校→大東文化大学(中退)※大学2年時 関東1部 スリーポイント王
身長:172㎝
ポジション:監督 兼 PG
得意プレー:ドライブ、クイックジャンプシュート
好きな選手:アレン・アイバーソン(元・フィラデルフィア76ersなど)

坂上 嘉也さん(25歳)
経歴:和歌山市立西和中学校→藤枝明誠高校→天理大学
身長:180㎝
ポジション:SG ※キャプテン
得意プレー:3ポイント
好きな選手:藤井 祐眞さん(現・川崎ブレイブサンダース)

中村 公亮さん(24歳)
経歴:大阪市立住ノ江中学→清明学院高校→神戸学院大学
身長:178㎝
ポジション:PG ※副キャプテン
得意プレー:3ポイント
好きな選手:クリス・ポール(現・ヒューストンロケッツ)

中島 健太さん(24歳)
経歴:銚子市立第七中学→千葉県立幕張総合高校→順天堂大学
身長:194㎝
ポジション:C ※副キャプテン
得意プレー:リバウンド
好きな選手:ティム・ダンカン(元・サンアントニオスパーズ)

(※年齢は2018年11月現在)

 

【主な練習場所】

西宮市内の市立体育館、神戸学院大学

 

【メンバー募集・採用について】

募集あり。関西の採用条件詳細については下記ホームページより問合せください。(担当:本田)
http://www.aquatech-group.co.jp/

 

取材協力:鉄板・お好み焼 ゆうゆう
インタビュー:K (BUMP編集部) ・他
文・写真:K (BUMP編集部)

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